あったかい歯医者。
昨年、岡山のとある場所にある歯医者を訪ねた。
ご夫婦と数人の助手の方々でやっている。いわば小さなところ。
元々、歯の悩みを小さい頃から抱えていたぼくは
昨年、それをどうにか解決しようと、インターネット上を何日も何日もかけてネット上を駆け回った。
だけどぼくの求めるものはなかなか見つからず、
あったとしても治療費も法外なものばかりだった。
なかば諦めかけていたとき、たまたまその医院を知った。
そのとき、嘘なんかじゃなく、運命なんじゃないかと思った。
ぼくの求めている最先端の治療法が、
なぜか岡山の片田舎の小さな歯医者さんに存在していたから。
しかも通常の治療価格を大幅に下回っていた。
インターネット上の先生の誠実さ、歯に対する想いを知ったとき、
価格設定に何の疑いもなく、電話をかけた。
応答を待つ自分がすごくドキドキしていたのを今も覚えている。
着々と話が進み、予約をとり、何事もないように受話器を置いた。
なんだか新しいことが始まる、自分が変わっていくんだ、っていう気がしてた。
初めてその医院を訪れたのは、確か去年の夏。
暑い日で、お気に入りの白シャツにベージュのストールを巻いてでかけた。
インターネットで顔を拝見していた女の先生が現れ、
詳しく治療法をゆっくりゆっくり歯に素人の僕にも分かるように
説明してくれた。
親身で、かつユーモラス。心の綺麗さが分かる素敵な女性。
その旦那さんである先生も、とても親しみのある人。
初めて会った自分に対して、ぼくがどんな人間であるか分からないはずなのに、
誠実に、そしてなにより熱心に対応してくれた。
説明が終わり、その日は歯型を採って終了。
その日、ぼくは、なんだかとてもあったかいものに巡り合った気がしていた。
あったかい歯医者。
今まで生きてきてこんな歯医者に出合ったことがなかった。
ぼくの行った歯医者はすべてが清潔。そして歯医者がもつ独特の冷たさを隠すように、
あたたかい演出がわざとされているような印象だった。
先生たちも、当たり前ながら「患者」として扱い、
ぼくも「患者」として向き合っていた。
だけど、その歯科医院は明らかに違っていた。
何がそうさせるのか。
先生たちのあたたかい人柄による面も大きいけど、
その歯に対する真剣さ、人を救おうとする内から出る気持ちが、
たしかに感じられた。
だから、余計際立ってみえたのかもしれない。
「人情」みたいな言葉が似合う歯医者さん。
ここでは「人」と「人」で向き合うことができた。
それからその歯医者には何度も通っている。
行く度に大事なことを思い出させてくれるような気がするから。
何より「行きたくなる歯医者」なんだと思う。
今日も歯のクリーニングと点検に行ってきたが、
歯周病の検査では、2ヶ月前は血が出る箇所ばかりだったのに、
歯磨きの仕方を教えられたとおりにやり、
歯磨き粉を勧められたものに変えただけで、
わずか2箇所ほどしか出血が見られなかった。
歯に対するモノの見方を少し変えてくれた
先生方、そして医院の皆さんには本当に感謝している。
こんなにすばらしい歯科医院が日本に、そして岡山にある。
ぼくにとってこれは巡り合わせとしか思えなかった。今でもそう思ってる。
こういう出合いってとても貴重で
これからも忘れないでいたいという気持ちで、この文を残しておくことにした。
これからもお世話になりますが、どうぞ宜しくお願い致します。
それではまた。